2009年10月04日

46 日光カンマン(大谷川1◆86)

水位:-0.28m(水郷橋:参考) 気温:21℃(今市) 天気:曇り時々晴れ
区間:憾満ヶ淵〜(一部徒歩)〜含満橋〜上鉢石 メンバー:花鳥


 日光の大谷川(だいやがわ)が、下れるらしい。

 大谷川は、栃木県中禅寺湖を水源とし、華厳の滝となって流出し、日光市内を東へ貫流し、日光市大渡にて鬼怒川に注ぐ利根川水系の一級河川です(流路延長:29.9km,流域面積:259ku)。

 鬼怒川に訪れる際、今市ICから北上すると最初にぶつかるのがこの大谷川です。大谷橋から眺めたその姿は、それはもう、「段々畑」という表現が最も似つかわしいと感じるほど、無数の小堰堤で固められていて、水量も乏しく、とても魅力ある川には見えませんでした。
 しかし最近調べ直したところ、中禅寺湖から流出するもともとの水量は豊富で、歴史は古く、19世紀末より水力発電に利用されてきたようなのです。

 ひょっとしたら、という気持ちがあって、小国玉川でキャンプした際、ぺーさんとシバさんに聞いてみました。
 すると、
 「放水口から下れる」
 「昔、大会が開かれたこともある」
 という回答を得たのです。

 おー、やっぱり下れるんやー。
 高揚して地図で確かめると、上から下までほぼ余すことなく堰堤で固め尽くされています。うーん、ホンマに下れるんかいな。辛うじて見つけたのは、清滝ICから日光市役所までの区間。この区間内は、日光第一、第二発電所の放水口があります。距離は2km程度と短いですが、おそらくここちゃうかと目星をつけました。

 そして渓流釣りが禁漁期を迎えるのを待ち、信頼できる仲間、花鳥と共に、本日、ついにやってきました。近辺にはあの日光東照宮があり、観光客で大いに賑わっています。

 まずは日光橋付近から川沿いに遡って下見。水量は、予想以上に豊富でした。段々のザラ瀬が絶え間なく続いていて、かなり楽しそうな感じです。あの「段々畑」のイメージとはえらい違いでした。
 そして水質も文句なしのAクラス。小国玉川のようなエメラルドグリーンとは異なり、コバルトブルーでした。曇っているからか、イマイチ写真に写らないですが…。テンションは急上昇。

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 下見中、とある場所で、地元のオバサンと話をする機会を得ました。すぐ上流の橋(含満橋)から下流に架かる橋(日光橋)までの区間で、昔はカヌーを時々見かけたらしい。ただここ数年は姿を見かけないそうです。そのうち我々、レッドデータブックに載ることになるやもしれません。

 「僕ら、清滝から下ろうと思ってるんですよ」
 「清滝? 清滝からだったら、含満ヶ淵は危ないよ」

 そういや、この上流はそういう地名だったような。

 「その、ガンマンガブチでは誰もカヌーしないんですか?」
 「あそこは流れが急だから危ないよ。カヌーも見たことないですねえ」

 えっ、ひょっとして、ヤバいとこなんすか?
 「淵」っていうくらいやから、一帯が緩やかに流れる渓谷を勝手にイメージしていました。

 含満橋へ行く。下流に滝のように勢い良く放水しているのが見えます。放水口より上流は一気に減水。ただ、何とか下れそうではあります。川相は変化なく、相変わらずのザラ瀬続き。

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 ストーンパークの入口で駐車。車道自体は大日橋まで続いているらしいですが、川から離れているので下見はできません。川沿いの遊歩道を、徒歩で遡っていきました。まもなく、慈雲寺というお寺の山門が現れ、その山門をくぐると、俄かに轟音が響いてきました。ラナと先に行っていた花鳥が立ち尽くしています。

 川相が、変わったか。
 川をのぞき込むと、何となく想像していた通り、岩盤状の川相でした。ただ、予想よりずっと荒々しい。川原まで下りてじっくり下見しました。
 含満ヶ淵(命名の由来から考えれば「憾満ヶ淵」と記し、「かんまんがふち」と読むようです)。その入口(最下流)は、いきなり滝でした。しかも二段連続。
 一段目は、落差は1m程度のドロップですが、落ち込んだ先が勢い良く右岸の岩にぶち当たっています。左岸側では爆発したようなボイルができています。エネルギーが、凄まじい。減水区間なのに…。

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 二段目は落差約5m.きれいな滝ですが、滝壺がテトラで埋められています。思いっきり左岸側へジャンプすれば、かわせるかもしれませんが…。リスクが大きすぎますね。失敗したら大怪我しそうなので、下るのは無理と判断しました。

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 川沿いの岩場と遊歩道を行ったり来たりしながら遡上していきましたが、ここらへんの岩、やたら滑るので危険です。実際、何回か転倒、滑落しました。川に落ちるとシャレになりません。

 途中で川沿いの遊歩道もなくなったので、その後は道なき道を歩いていくと、堰堤(第二発電所取水堰)が見えてきました。

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 その下の瀬には一部シーブがあります。大事を取ってポーテージするとしても、空荷で歩くのも難儀するのに、カヌーを担いで歩くのはかなりしんどい。この区間は厳しいかな…。予定では、大日橋まで歩くつもりでしたが、ここまでの壮絶な流れにお腹いっぱいになったので、ここで中断しました。ここより上流の下見は次回に持ち越しです。

 意外にも、花鳥は乗り気でした。あの、慎重過ぎるほど慎重な彼がです。愛艇オールスターなら絶対やらんと言ってましたが、一緒に積載してきた巨大艦ディーゼルなら、何とかなると判断したようです。

 協議の結果、川沿いの遊歩道の終点、第一発電所の余水吐と思しき場所(下見時点では水は流れていない)からプットインすることにしました。そして憾満ヶ淵ラストの二段の滝の直前でいったんテイクアウト。
 丹念に見て歩いた結果、命を取られそうなシーブやストレーナーは見当たりません。もし、沈脱しても、浮かんでこないということはなさそうです。ただ、なりふり構わず、フネもパドルも捨てて、上陸に専念しようと話しました(笑)。
 この区間はさすがにラナを連れて行ける自信がありません。彼女には後半戦から一緒に行くからと説得し、この憾満ヶ淵はクルマでお留守番してもらうことにしました。


より大きな地図で 大谷川(憾満ヶ淵〜上鉢石) を表示

 フネを担いで再び慈雲寺の山門へ。

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 しょっぱなの瀬です。もう一度下流から下見。

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 上流から。最後のほうが落ち込んでいて見えません。

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 実はこの上流も瀬が続いていて、瀬の途中から始める形になりますが、この最初の瀬が、今日下るコースの中で、最難関となります。
 もう一度、下見。柔軟体操。深呼吸。精神集中。イメトレ。心臓がバクバクしてます。これだけ緊張すんのって、箒川の七ツ岩以来かなあ。
 覚悟が決まったところで出陣しました。



 花鳥も、いっちゃいました。

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 短いプールを経て、またすぐにドロップ。ただし先の瀬とは違い、単発モノなので御しやすい。

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 落ち込みの後に控える瀞場の上には霊庇閣(れいひかく)と呼ばれる四阿があります。散策の途上で一息着くために腰を下ろす観光客からは、好奇の眼差しが向けられていました。

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 霊庇閣を通り過ぎると、また瀬です。陸からは完全に見えませんでしたが、幸い落差は小さい。シュート状の流れが岩にぶち当たり、右にほぼ直角に曲がっています。

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 最後の瀬。落差の小さい単発モノです。ただし、岩と岩の間をすり抜けなくてはならず、ブローチングリスクがあります。次は二段の滝が控えています。ここを流されるのはまずいということで、一応レスキュー態勢を取りました。

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 最初の瀬が終わってから二段の滝までの区間、ちょうど霊庇閣を中心とする一帯ですが、憾満ヶ淵でも比較的穏やかな、間奏曲のような区間でした。

 二段の滝をスキップして、滝の下から再開することは可能ですが、先述の通り、ここの足場は良くありません。いったん遊歩道まで上がり、含満橋までポーテージする方法を選択しました。距離にして200mにも満たないダウンリバーでしたが、気持ちは充分に満たされました。
 山門を再び通過して、憾満ヶ淵から離脱。

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 駐車場まで戻り、ラナと合流。ぶち切れ気味の彼女をなだめすかし、「含満の茶屋」でランチタイム。ここの女将さんに聞いたところ、憾満ヶ淵にカヌーで下りに来た人を見るのは、店を始めて十数年来初めてだそうです。

 付近には、日光第二発電所があります。有効落差は約25mとのことですが、二段の滝の下は大した落差がありません。憾満ヶ淵(取水堰〜二段の滝)の約400m区間でほとんど落差を稼いでいることになります。勾配(‰)を計算すると…、すごいですね…。心身ともお腹いっぱいになったところで、後半戦スタート。

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 まもなく日光第二発電所の放水口に至ります。放流量は最大6.68t。ただ、放水の迫力はすさまじいの一言で、感覚的には倍くらい出ているようにも感じました。比率は1:1,もしくはそれ以上。つまり水量は倍増することになります。放水口以下は、長良川ばりのパワーウォーターと化しました。これが、大谷川本来の姿なんでしょう。

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 突然の変化に戸惑う。しかし、馴染んでくると、思わず奇声を発したくなるほど楽しい。
 神橋まであっという間でした。
 なお、注意深く見ていたつもりでしたが、プレイスポットは発見できませんでした。大会が行われるくらいやから通ったら分かるやろ、と思っていたんですが。ひょっとすると、区間を間違えているんでしょうか?

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 この下流には東電の取水口(赤沢第一発電所取水堰)があるので、堰の手前で上陸。このパラダイスゾーンは、たったの1.5km、15分足らずで終焉を迎えました。
 川相、水質共に最高クラスなのに、距離があまりに短すぎます。正直、物足りなさが残ります。大谷川がメジャーでないのは、このあたりに理由がありそうです。

 まあそれでも前半戦で充分満たされていたので、満喫できたと言えるダウンリバーでした。
 が、花鳥がもう一本下りたいと宣う。今度は愛艇オールスターで後半戦のみ下りたいらしい。再度回送して、出艇。

 一本目は、取水口の手前で上陸しましたが、今回は越えてみました。ここは、左岸側の広い範囲が取水口になっていて、格子の先は暗渠へと続いています。流れに乗ってしまうと後戻りは不可能なので超危険です。おそるおそる、右岸ベタから進入して越えました。

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 堰堤の下は、大幅に減水しています(最大で11.38t取水)。しかも第二発電所放水口上流(含満橋)より川幅が広がっている分、下れる水量があるとは言えない状態です。

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 この先は、段々畑のように小堰堤が100m間隔くらいでひたすら続いています。ここから下流はもともと大谷川に対して持っていたイメージ通りの川相ですね。

 一発目は落ちても問題なさそうな形状だったので、やってみることにしました。



 花鳥も別ルートから落ちる。

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 先に見える橋まで行ってみようと思ってました。
 二つ目に出くわした堰堤は、落ち込みが川幅全体に均一になっています。バックウォッシュは小さいですが、巻かれるリスクがあるので避けました。
 ここで切り上げて、上陸。
 やっぱり、人工物はテンションが今ひとつ上がりませんわ。堰堤間は浅くて何度か歩かされますが、我慢するほどの価値を感じませんでした。せめて、堰堤間が快適に下れればねえ。

 総括すると、憾満ヶ淵一帯は渓流、含満橋から赤沢第一発電所堰堤までの区間はビッグウォーター、堰堤下は段々畑の人工河川という、短い区間で三つの顔を持っていました。1粒で3度おいしい川です。とくにビッグウォーター区間は短いながらも、渇水期でもこの流量があるのであれば貴重なフィールドです。
 次回は、ぜひとも憾満ヶ淵上流部(大日橋付近)を下見したいと思っています。あと、プレイスポットの場所の特定も。結局、どこにあるのか分からずじまいでしたので。


 帰路の東北道は激しく渋滞。イヤになってSAで2時間ほど読書して時間をつぶし、解消してから帰りましたが、5時間半もかかってしまいました。

ニックネーム ラナ父 at 23:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 関東>大谷川 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。桂川の情報を集めていて訪れた者です。

お聞きになった大会はたぶん、十年以上前に放水口下流まもなくの右岸側ドロップで行われた「大谷川エンダーコンテスト」の事かと思います。
私は当時最新艇だったダガーのトランジションで出ましたが、皆が3m超のボートを操り、エンダーとピロエットがメイン、ようやく2エンドのカートが広がり始めた時代の話です。ピロエットが楽しめなくなった今時のフネではスポットに入らないでしょうね。
Posted by さきむら at 2009年10月11日 01:44
さきむらさん、貴重な情報ありがとうございます。
疑問に思っていたことが解けて、すっきりしました。

エンダーとピロエットがメインということは、いま私がダッキーで目標としているのと見事にマッチしますんで、次回行ったときに見つけてチャレンジしてみます!
Posted by ラナ父 at 2009年10月14日 02:59
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