2009年04月26日

17 巡礼ハイランド(那珂川1◆80)

水位:1.24m(黒羽) 気温:14℃(黒磯) 天気:快晴!
区間:那珂川橋(油井)〜那珂川疎水公園(x.xkm) 所要時間:約2時間
メンバー:Actonさん、元やん、takeさん、花鳥、後輩1号&川太郎(回送)


 ついに訪れることができました。パドラーが聖地、「関東随一の清流」那珂川。
 那珂川は、那須岳(標高:1,917m)を水源とし、那須野ヶ原を南東から南に流れ、余笹川、箒川、武茂川、荒川等を合わせて八溝山地を東流した後、平地部で南東に流れを変え、太平洋に注ぐ、幹川流路延長150km、流域面積3,270 kuの一級河川です。

 カヌーを始めた頃は、「日本最後の清流」四万十川と並ぶ憧れの地でした。しかし、四万十巡礼が早々に実現したのに対し、那珂川にはとんと縁がなく、結局13年の月日が過ぎ、順番としては80本目となってしまいました。しかも訪れた場所は『55マップ』にある烏山〜御前山のようなオーソドックスな巡礼コースとは異なる、那須高原コース。超マニアックです。


より大きな地図で 那珂川(油井〜疎水公園) を表示

 目の前には、当初の憧れだった那珂川のイメージとはかけ離れた急流が轟音を立て、渦巻いています。

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 このマニアックセクション、実は最初に着目したのはActon氏でした。はじめに話が出たのは2月。氏の仕入れられた情報によれば、黒羽観測所水位で100cmが最低ラインとのことでした。ただ、当時の水位は80〜90cmの間を推移し、また3月は解禁月なので遠慮しておりました。
 ちなみにこのセクション、情報がまったく存在しないわけではなく、古いものでは「七厘会」さんのページに簡潔ながら記録が残っています。また、YouTubeにも瀬を下るムービーが散見されます。少ない資料から川相を夢想しつつ、雌伏の時を過ごしていましたが、待ちわびていた時がいよいよやってきました。金曜日時点で90cm台前半をキープしていた水位が、昨日のダメ出しの雨(黒羽の累加雨量:34mm)で急上昇。水位は再び100cmの大台に乗り、最大で127cmまで上昇しました。基準100cmで120cmオーバーはちょっと増えすぎちゃうかと、逆に心配になってきましたが、Acton氏の最新情報によれば110cmはないと逆にしんどいらしい。

 そして夜が明ける。川崎の朝は清々しい青空が広がっていましたが、東北道を北上するにつれ、雲行きが怪しくなり、栃木県内に至りついに雨が降り出しました。宇都宮市以北に至っては、単純に雨というには生ぬるい、篠つくような雨でした。
 疎水公園にて落ち合った当初、みなさん天気に比例して浮かない顔でした。雨は小降りになっていたものの、何といっても寒い。そういや、東北道の電光掲示板には8℃って出てました。さすが高原ですわ。
 しかし、俄かに奇跡が起こる。西の空に青空が現れたと思ったら、みるみるうちに雨雲の占める割合が小さくなり、間もなく待ち望んでいた太陽が顔を覗かせました。まさに天佑。神のご加護を感じないではいられませんでした。

 プットイン地点に到着した当初、川は暗く、冷たく重い印象で、メンバーには悲壮感すら漂っていました。去年下った日原川の思い出が脳裏をよぎる。しかし回送から戻ってみると、これが同じ川かと目を疑うほどに雰囲気が変わっていました。コバルトブルーの水面は陽光を浴びて煌めき、波の白と空の青と、そして山の緑が一際鮮やかに浮かび上がっています。

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 天気や気温が精神面(気分やモチベーション)に与える影響には計り知れないものがあり、不思議なもので、途端に気分まで晴れやかになります。最も分かりやすかったのはActon氏。川を前にはしゃぐ姿を見ると子供となんら変わりありません。この御大、平日社会におけるヒエラルキーのかなり上位に位置するはずですが…。
 何はともあれ皆さんのご機嫌が麗しゅうなったところでいよいよスタート。

 最初から大きめの瀬が待ち構えています。さしものリンクスでも、スピードと角度を誤るとひっくり返されそうなくらいのパワーがあります。スタートから断続的に続く瀬は、川筋が右手にカーブするところでいったんフィニッシュ。最後を締めくくるのは巨大なストッパーウェーブでした。

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 ここを過ぎると穏やかな流れが待っています。ここで花鳥が念のためリバーサインの確認と、航下順を確定しておきましょうと提案。えらいですね。さすが神様です。
 しばらく漕ぐと、川筋が二手に分かれていました。より流量の多い左岸側ルートを選択。分岐点あたりから再び瀬が始まる。振り返ると、はるか先に残雪抱く那須岳が見えます。両岸に並ぶ木立には針葉樹が混じっています。おそらく亜高山帯のためでしょう。信州の高瀬川に何となく感じが似ています。

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 分岐が終わり、川の流れが再び出合う箇所に大きめのポアオーバー発見。しかしフネから瀬の終わりが充分見えるので、バンクスカウティングなしでそのまま突入。

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 白色に輝く飛沫が顔に被さって、冷たいけど超気持ちいい。



 この出合いの瞬間がこの瀬のピークで、流れは再び穏やかになります。右岸にはガレ場の崖が現れました。崩れ方にムラがあって、いくつかは円錐形を成しており、ミナレット(尖塔)のようです。takeさんが「カッパドキアみたい」という。侵食作用でできたんでしょうか? 興味深い光景であります。

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 やがて川幅がさらに広がり、全体的に浅くなってきました。左岸寄りには川の中にぽつんと一本の木が立っています。おそらくこのあたりは普段は中洲になっていると想定されます。それにしても、幾多の洪水を乗り越えて屹立する姿には感じ入るものがあります。

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 この孤高の木あたりから、再び川筋が分岐しています。さてどっちにしよう。先陣を切る私が判断を誤れば後続全てに影響を与えてしまうので、慎重に選ぶ必要があります。より流量の多いと思しき左岸ルートを選択し、先を見据える。瀬の終わりが…見えました。問題なく下れそうです。ここも上陸せずに一気に突っ込む。

 この瀬もクライマックスはラスト部分、分岐した流れが合流した直下にありました。いくつもの大きな岩の上を豪快に流れ落ちています。コケ一つない岩の上を淡い青みがかったホワイトウォーターが覆う様を目にした時、昔ひいひい言いながら下った小坂川(飛騨川支流)の光景が重なりました。



 岩の間を縫うように、時にはパチンコ玉のように弾かれながらゴールを目指して漕ぐ。ただ川幅が広い分、ルートの選択肢がたくさんあるので多少コース取りをミスってもリカバリーしやすいという意味では比較的御しやすい瀬でした。
 さっきの出合の瀬でポテした元ヤンさんもここは突入し、泳ぐことなく無事クリア。巨大戦艦ディーゼルを操る花鳥は楽勝で下ってきます。

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 たぶんここが前半部最大の瀬でしょう。瀬の下で一息入れることにしました。今度は左岸に見事な柱状節理の崖があります。
 青空は澄み渡り、どんどん気温も上がり、皆さんテンション上がりっぱなしなので会話も弾む。GWの過ごし方にも話題は及び、鬼怒川上流の湯西川や男鹿川も行きたいねという話になりました。これまで北関東にはなかなか訪れる機会がなかったのですが、いざ足を運んでみると、新しい川がボコボコ湧いて出るようにありますね。この調子だと、新規開拓10本/年間の目標を軽くクリアしそうな感じです。

  一服して再開。いきなり瀬になりますが、休憩場所の川原から見渡せていたので一気に突入。

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 ラストは一文字のホールになっていました。かなり大きいので避けましたが、後ろのtakeさんがあえなく被弾、やがて主人を失ったフォースがゆらゆらと流されてきます。
 まずはフォースをエディーに押し込んで動きを止め、トゥラインで連結。そして、作業中に下流に流されていったtakeさんを追いかける。幸い、この先は比較的緩やかな流れがしばらく続き、後続も無事に下りてきてサポートに入ってくれたおかげで落ち着いてレスキューできました。

 この先も瀬が延々と続いていました。

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 厳密に言えばところどころにエディーがあって停まることはできるんですが、前半に比べるとややメリハリに欠けているように感じました。勾配が緩まってきているんでしょうか。

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 随分と流され、そろそろゴールも近いんやないかというところでようやく大きいのが現れました。川幅が狭まり、エネルギーが逃げ場を求めて上空へ手を伸ばすようにスタンディングウェーブが連続しています。

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 一見、手ごわそうな相手ですが、コースはほぼ一直線。見晴らしも良いのでそのまま加速して突っ込みました。



 長良川のどっかんの瀬みたいでしたね。

 その後に続く緩やかな浅瀬を下ると西岩崎頭首工のバックウォーターに到着。ゴールの那須疎水公園です。

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 かくして念願でありました那珂川巡礼の旅は無事に済ませることができました。巡礼先は那須高原という、カヌーツーリングのコースとしては異端の地でしたが、この上ないコンディションに恵まれ、日頃のモヤモヤは雲散霧消、自身さえ清冽な流れに溶けて同化してしまいそうなくらいに満ち足りた気分になれました。そういう意味では巡礼の目的は充分に果たしえたと言えるでしょう。

 ところで、今回もシャトル役&お留守番だった奥さんと川太郎、ありがとうございました。今日のようなコンディションなら、奥さんも存分に楽しめると思います。次回はぜひ下ってみてください。満足度100%は保証しますので。

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 【追伸】
 昼食は疎水公園のすぐ近くにあるダチョウ料理屋「太らん」に。回送時になんやこれ? と気になっていましたが、皆さん同じ気持ちだったようで、満場一致で決まりました。
 詳細は、料理専門ブログ「ダチョウ料理2000」を参照ください。


 ◆参考資料
 ※周辺施設(堰堤など)
 http://www.nasu-lid.or.jp/map/map_k.htm

 ※西岩崎頭首工
 ・最大取水量:8.94t(那須野ヶ原用水全体:14.69t)
 ・最低放水量:0.5t(西岩崎頭首工より下流への放水)
 http://www.doboku.shimotsuke.net/nasusosui.html
 http://suido-ishizue.jp/kokuei/kanto/tochigi/nasuno/0107.html


ニックネーム ラナ父 at 23:34| Comment(12) | TrackBack(1) | 関東>那珂川 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
天気も瀬のパワーも水量も水の綺麗さも申し分ありませんね!!!
特にホワイトウォーターと境界部分の水の色が印象的です!
雪解けすぐのような綺麗なコバルト色の川水にワクワクします〜
Posted by 番頭 at 2009年04月27日 18:55
清冽なコバルトブルーの流れを見て「行けば良かった」

と思う反面

天高く舞い散る飛沫に「行かなくて良かった」

と思うチキンな自分です。

とにもかくにもクリアした皆さん、あっぱれ!です。
Posted by ソラ at 2009年04月27日 22:44
こんばんは。ありがとうございます。

久々に別世界へトリップしたような気分を味わいました。高原だけあって、植生が違うんですよね。それだけでものすごい雰囲気が変わるので面白いです。

ところで、番頭さんのブログ拝見しましたけど、櫛田行かれてたんですね。私もあの川、大好きです。とくにこの時期の眺めは最高ですよね。

Posted by ラナ父 at 2009年04月28日 01:00
こんばんは。
いやー、絶対「行き」でしたよ。
何たって「神様」花鳥が来てましたからね。

彼がいれば、水量のない川も増水して快適に下れ、降っていた雨も無理やり止ませて快晴に変わり、極めつけはダチョウ料理を食べるという恩恵に浴することができます。

次回、機会があればぜひお会いされることをお奨めいたしますよ!
Posted by ラナ父 at 2009年04月28日 01:13
ラナパパ、一緒に下ってくれてありがとうございます。2日たってもまだ余韻に浸っています。ラナパパほど川を下ってませんが、僕のベスト3にはいる川です。いいパーティーにも恵まれ安心して下れました。120cm超えたらまた行きましょう。
Posted by Acton at 2009年04月28日 05:08
こちらこそありがとうございました。
天気、水量、そして期待を裏切らない川相とむちゃくちゃラッキーでしたね。テンションの高いメンバーのおかげで、初めての川のはずなのに、悲壮感・緊張感とは縁がなく、終始笑いっぱなしでした。精神的なものって大きいですね。

ぜひまた行きましょう。
Posted by ラナ父 at 2009年04月28日 06:39
いまだに興奮しっぱなしです。頼りになる皆さんのおかげで、あれほどの川をクリアすることができました。

また神様と初めてお会いしましたが、忘れられない方ですね。日本制覇してほしいですね。

GWもご一緒できるとよいですね。
Posted by 元やん at 2009年04月28日 07:47
那須高原ですねぇ〜素晴らしい自然の景色と川相ですねぇ!!!!!
ラナ父さんの北関東の下りたい川のトップを制覇できておめでとうございます!!!
関西からは一大決心で訪ねなければならない距離ですもんね〜

ラナ父さんの過去のHPの川資料をいつも参考にさせていただきながら関西の川をダウンリバーしています!

すんませんがゴールデンウィーク2泊3日ぐらいで関西のお薦めのホワイトウォーター系か秘境系のポイント2〜3ヶ所をご伝授いただけたら幸いです!
川の名前だけ簡単に教えていただけたら後は自分で調べますんで・・・

四国吉野川大歩危に行く予定をしていたんですがメンバーの都合がつかなくて2〜3人だけのミニツアーになってしまいました・・・
Posted by 番頭 at 2009年04月28日 11:46
こんばんは。
こちらこそありがとうございました。ホント、絶好のタイミングでしたよね。

そういえば、花鳥とはファーストコンタクトだったんですね。彼の真骨頂はキャンプ時(飲酒時)に発揮されます。ぜひ、伝説の百物語を聞かれることをお奨めします。何たって聞いた人間全員が失神しますからね。
Posted by ラナ父 at 2009年04月29日 03:48
番頭さん、こんばんは。

関西には紀伊半島という自然の色濃い地がありますね。秘境を求められるのなら、やはり南下するのがよいのではないかと。

ぱっと思いつくのは、北山川をベースに、赤木川、大塔川(水量次第ですが)など新宮川水系ツアーがありますね。

移動が苦にならないのであれば、北山から熊野へ抜けて南下し、古座川水系(古座川、小川)、北上して日置川、日高川、有田川あたりを下るプランも考えられます。
逆に東回りで、宮川の支流一之瀬川(これも水量次第)、櫛田川(蓮川)なんかもいいですよね。

また、北山川へ行く距離を考えたら、長良川行くのとそう変わらないので、長良川と周辺部(亀尾島川、吉田川、板取川など)を漕がれるのもいいのではないかと。関西ではなくて中部になりますけどね。

あとは、秘境とは言い難いですが、丹波美山川+由良川、支流の上林川(水量次第)も悪くないですよね。これはとくに近いのがメリットだと思います。

あと、高速道路1,000円になったおかげで明石海峡のハードルも下がりましたから、やっぱり四国行きも捨てがたいですよね。大阪からやと、たぶん長良川行くのとそう変わらないような気がします。
大歩危でなくても、那賀川とか、さらに太平洋側沿いの海部川なども楽しいと思いますよ。

下る楽しみがあれば、調べる楽しみもあると思います。おっしゃられるとおり、川の名前しか記しませんでしたので、色々検索して情報収集してみてくださいね。
Posted by ラナ父 at 2009年04月29日 04:12
ラナちゃんが大変な時に丁寧に親身にお答えいただき感謝感激です!
大阪の南部に住んでいますんで自然がいっぱいの紀伊半島に入りびたりです
紀伊半島は川はもちろんの事、サンゴがいっぱいの海や異様な奇岩や原生林の沢も数え切れなく残っていてたびたび訪れます
紀伊半島の山道ばかりに分け入ってることもありETCを付けそびれてGWの四国行き予定に躊躇しています
仲間のETCをあてにしていましたがいろんな職種の集まりで休みが合わないんです・・・
とにかくGWはラナ父さんのご意見を参考にしてリバーキャンプに行って参ります
ほんとにラナちゃんの大変な時に丁寧なご回答をありがとうございました
ラナちゃんの順調な回復を祈っています!
ラナちゃんガンバレ!



Posted by 番頭 at 2009年04月29日 10:49
ETCありませんでしたか。それは残念でしたね。聞いた話だと今から申し込んでも2ヶ月くらい待たされるらしいですね。

紀伊半島のポテンシャルはすごいと思いますよ。あまりたくさん行けなかったのが心残りです。下った川のことであればだいたい答えられると思いますので、遠慮なくお尋ねください。
Posted by ラナ父 at 2009年04月29日 16:36
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