2009年03月08日

10 渓流ラストチャンス(秋川2)

水位:0.94m(秋留橋) -0.83m(東秋留橋) 気温:8℃(青梅) 天気:曇り
区間:和田橋〜小和田橋(8.1km) メンバー:後輩1号&川太郎(回送)


 それこそ雲霞のごとく集まっていた釣り人の姿が、山田大橋から上流になるとぴたりと途絶え、深い青を湛える秋川の水面には時々曇り空の隙間からこぼれる陽光が射してきらめいています。
 よくよく調べてみると、秋川の解禁日は三段階に分かれていました。すなわち上流部の南北秋川および各支流は先週3/1,山田堰以降の下流域は本日、そして山田堰から吉祥寺滝までの中流域は来週3/15です。
 ということは、中山峡はまだ下れるんとちゃうかと。そして、金曜日の降雨の影響が依然残っています。ベスト水量には足りないものの、おそらく下るのは可能やないかと。果たして訪れてみれば、先述のとおり川は下るに足る水量があり、人の気配はまったく存在しませんでした。

 今日の主目的は、未航下区間を埋めていくことです。すなわち、前回テイクアウトの乙津橋から十里木ランドまでの区間、および佳山橋から下流の区間となります。プットインを中山の滝直前の和田橋とし、2時間程度で漕げる距離(7〜8km)ということで、テイクアウトは武蔵五日市駅に仮設定しました(車道距離で約7.3km)。


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 ◆中山の滝

 今日の水位(0.94m)は前回(0.87m)と前々回(1.01m)のちょうど中間でしたが、水量的には前々回に近しい。底を擦ることなく、悠々として流れていきます。
 最初の難関、中山の滝は壱の滝でエディーキャッチし損ねて逆さまから落ちそうになったことを除けば順調にクリア。三回目ともなればさすがに慣れてきて、余裕を持って下れますが、その分油断が生じやすく、凡ミスをかましがちです。独りのときは特に気を付けないと…。



 ◆乙津堰堤

 前回のテイクアウトポイント、乙津橋を過ぎると、いよいよ未航下区間に突入となります。緩やかな蛇行をいくつか経ると、水平線が現れました。乙津堰堤です。

090308akigawa08.jpg

 落差は4〜5mくらい。ストレーナとなる床止めテトラや険悪なリサーキュレーションは存在せず、滑り台のような構造です。ダッキーなら、やってやれないことはなさそうな気がします。むしろ、転覆するイメージが湧いてこない。ムラムラと黒い衝動が沸き上がってきましたが、結局ポーテージを決断。人工物には近づくなという古人の教えを忠実に守ることを選びました。左右いずれも迂回できそうですが、今回は左岸の魚道を使ってポーテージ。



 ちなみに前回(去年の8/30)はこんな感じ。左岸ルートは使えそうにないですね…。



 懸念していたほどではありませんでしたが、やはり水を取られたせいで下りにくい。先が思いやられるなあとため息をついたのも束の間、すぐ下流に余水吐から(割合までは分かりませんが)かなりの水が戻されていました(動画の後半部)。ついてます。

 ◆十里木の瀬

 前方に新しい吊り橋が見えるなだらかな早瀬の終わり、突如として水平線が現れました。とっさに右手でスターンラダーをかける。フネを時計回りに回転させ、そのままフェリーグライドで右岸に上陸。ラナと一緒に陸沿いに水平線の向こうを覗き込んでみました。
 滝…、ではありませんでしたが、結構な落ち込みです。車道から見たときは、一発モノのちょこんとした落ち込みくらいに認識していましたが、どうして近くで見ると震えるほどにド迫力です。

090308akigawa13.jpg

 ポーテージは右岸から可能です。やるかやらないかですが、ひとまず「やる」ほうを選択しました。コース取りの難度が高く、沈の可能性がありますが、瀬の終わりがプールなのでリスクは低いと考えました。

 次に瀬のラインをじっくり読み解いていきます。
 一段目、全体的に浅いですが、中央やや左寄りに左岸に向かって落ちるルートのみスムーズに通れそうです。その先に二段目、水柱が立っています。大きなストッパーウェーブにも見えますが、波の中に岩が見え隠れしており、実は大きな岩というのが窺えます。突破は不可能なので、岩の右側から右岸に向かって落ちる流れに乗る必要があります。この一段目から二段目に至る間に、左岸に向いたバウを右岸側に回転させ、岩に衝突するまでに一気に右岸に漕ぎ抜けることができるかどうかが成否のカギと感じました。
 うまくいく可能性は五分五分というところでしょうか。ラナはポーテージさせることにしました。瀬の終わりでスローロープを岩に引っ掛けて固定し、リードに繋ぐ。普段ならG君とかに見てもらうんですが、今日はソロなのでこうするより他にありません。

 フネに乗り込むと、瀬の向こうにはラナの頭だけが見えます。これから何をするのかは伝わっているようで、おとなしくお座りして待つことにしたようです。



 フネを流れに乗せ、一度大きく深呼吸して漕ぎ始める。今年一番の緊張感です。一段目、右のバウラダーで失速させつつ、右に回転しながら落ちる。ここからが勝負どころ。直下の隠れ岩に対し、ほぼ横向きの状態になっているので、もし岩に衝突ならフリップ必至でしょう。目いっぱいの左パドルで逃げ、ダメ出しで右パドル。これで…、右岸に落ちる流れに乗れました。あとはするすると滑り台を落ちるようでした。安堵のため息と共に張り詰めていた気持ちが弛緩していく。ふと気付けばラナがギャンギャン吠えて出迎えてくれていました。

 ◆山水の瀬

 この先、十里木ランドで養沢川を合わせて水量が増加。落合橋を過ぎると再び渓谷の相を呈します。ここは去年の夏、G君と初めて秋川を訪れた際に下ったコースです。あの時は、霧が立ち込める水墨画のような世界で…といえば聞こえはいいですが、実際は視界がまるできかず、未知の恐怖におののきながら下ったものでした。

090308akigawa21.jpg

 前回の核心部、山水の瀬に到着。あまりのギャップにしばし目を疑いました。前回の強烈な落ち込みの姿から、今日の水量ではパワーはなくともより落差の大きな落ち込みが待ち構えているはずと踏んでいたのですが、眼前にあるのはただのザラ瀬でした。逆も然りで、今日の瀬相から増水時にああいう姿になると予測できる人は少ないんじゃあないかと思います。

090308akigawa22.jpg



 ちなみに前回はこんな形をしていました。



 さらに進むと、左岸前方にユンボが複数停まっているのが見えました。おそらく右岸の護岸整備かと思われます。そして、仮設橋が架けられていました。漕いでて実物に出くわしたのは何気に生まれて初めてだったりします。当然ポーテージで回避しました。

090308akigawa26.jpg

 この橋、増水時はどうなるんでしょうね。

 ポーテージを終えたところで小休止。回送してくれている奥さんから留守電にメッセージが入っていました。武蔵五日市駅付近にはクルマを停められるところがないらしく、テイクアウトポイントを佳山橋と小和田橋の間に変更したようです。うーん、私にはもったいないくらいにできる嫁で助かりますわ。

 沢戸橋で盆堀川の流れも加え、川はさらに水量を増しますが、川幅が広がり、逆に浅くなります。このあたりは岩瀬峡と呼ばれる区間ですが、岩が多いだけで川幅は狭くなく、かなり下りにくい。
 このあたりからスタックを頻発し、何度かフネから下りて歩くことになりました。さすがに疲れてきたところに、タイミング良くエクストレイルを発見。嫁の判断に従い、ここで上陸することにしました。

090308akigawa35.jpg

 これで南秋川吉祥寺滝の下から武蔵五日市駅付近までの区間が繋がり、概ね目的は達成したことになります。ただ繋いだというの達成感だけでなく、十里木の瀬という予想外に難しい瀬にも出会い、期待を上回るスリルを味わうことができました。
 それもこれも奥様が、いつもいつもお付き合いいただけるおかげです。おかげで今日も最高の一日を過ごすことができました。ありがとうございました。

ニックネーム ラナ父 at 19:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 関東>秋川 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。

今更、この記事にコメントするのもどうかと思ったんですが、わんことカヌーの資料性の高さを鑑み、あえて、こちらにコメントします。

秋川、よかったです。道路から近いので秘境感は余りないですが、短い区間に、癒しとスリルと苦行の盛り込まれた内容の濃い川でした。

ちなみに、堰堤は2段目の下に数メートル間隔で、鉄筋が突き出ていました。
先人の教えに従ったのは正解と思われます。
Posted by やまかわ at 2012年11月07日 00:28
こんばんは。

秋川ダウンリバー、おめでとうございます。やまかわさんの記事は読ませていただきましたよ。次は、いよいよ惣岳渓谷ですか?

ストレーナの情報ありがとうございました。
やっぱ見えない場所は(慣れた場所でも)事前にちゃんと確認しとかんと、何があるか分かりませんね。
Posted by ラナ父 at 2012年11月07日 21:11
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